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農業支援外国人受入事業の「特定機関」とは

[記事公開日]2018/09/08
[最終更新日]2018/09/24
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農業支援外国人受入事業の「特定機関」とは

「経営規模の拡大などによる『強い農業』を実現するため、適正受入管理協議会の管理体制の下、外国人材を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業」として国家戦略特区内で農業支援外国人受入事業が始まりました。

農業で就労する外国人と雇用契約を結ぶ「特定機関」とはどういった役割なのか、また、特定機関として認められる要件はどのようなものなのかをわかりやすくご説明します。

 

農業支援外国人受入事業とは

農業支援外国人受入事業は、「経営規模の拡大などによる「強い農業」を実現するため、国家戦略特別区域内において、適正受入管理協議会の管理体制の下、農業支援活動を行う外国人材を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業」と定義されています。

農作業をする外国人と派遣業者が雇用契約を結び、派遣社員として外国人を農家に派遣する形態の事業です。

農業支援外国人受入事業に関しましては『農業支援外国人受入事業とは』で詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。

 

特定機関とは

特定機関とは、労働者派遣法に規定する労働者派遣事業を実施する事業者で、適正管理協議会から特定機関の基準に適合していることの確認を受けた事業者です。

適正受入管理協議会とは、関係自治体、内閣府地方創生推進事務局、地方入国管理局、都道府県労働局及び地方農政局により構成された組織です。

株式会社アルプス技研が国内第一号の特定機関として認定されました。

 

特定機関の要件

特定機関は、事業者要件、契約要件、その他の要件の全てを満たす必要があります。

それでは、それぞれの要件を一つずつ見てみましょう。

 

特定機関の事業者要件

特定機関になるためには適正管理協議会へ申請をします。

特定機関となるには以下の基準を満たす必要があります。

 

人材派遣事業許可

特定機関になるには労働者派遣法に基づく厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。

 

本社又は直営の事業所

本社又は直営の事業所が、事業実施区域内又はこれに隣接する市町村の区域内に所在している必要があります。

東京23区は、これを一つの「市」として取り扱います。

 

経済的基礎

過去3年分の売上、利益等が健全な状態にあること等が必要です。

設立後3年を経過していない法人については個別に判断されることになります。

 

事業実績

労働者を農業経営体へ派遣した実績があることが必要です。

 

人的構成

農業現場の実情を把握できる体制を有していることが必要です。

例えば、以下のような者が、特定機関の役員若しくは当該機関の農業部門の職員として勤務していること、又は業務方法書等においてこれらの者が特定機関の農業分野に関する業務の運営に指導や助言等を行うことにより関与するものとされていること等が「人的構成」を満たしていると言えます。

  • 農業経営や農作業に1年以上従事したことのある者
  • 農業分野の関連団体の勤務経験がある者
  • 農業分野の行政経験がある者
  • 農業分野の学識経験者といった者

 

特定機関の契約者要件

特定機関の契約者要件特定機関は、外国人農業支援人材を派遣労働者としてフルタイムで雇用し、職務内容、雇用期間、報酬額その他の雇用条件を明確に定めた雇用契約を文書により締結しなければいけません。

フルタイムとは、週所定労働日数が週5日以上であって、かつ、週所定労働時間が 30時間以上(派遣先農業経営体への移動時間を含む )とする労働条件で雇用することをいいます。

契約の内容に明記する職務内容、雇用期間、報酬額その他の雇用条件に関して一つずつご説明したいと思います。

 

職務内容

外国人材の作業は農作業を主としなければいけません。

「農作業を主とする」とは、派遣期間中に提供される農業支援活動を全体として見た場合に、天候不順、天災等やむを得ない場合を除き、「農作業に従事する時間が過半となること」をいいます。

派遣期間全体を通じて判断します。

主とする農作業の他には、製造・加工、販売等の作業にも従事することが可能です。

「農作業に従事する時間が過半となること」とは、外国人材が従事した農作業の時間の合計が、製造・加工等の作業も含めた作業時間全体の半分以上となっていることをいいます。

農作業が半分以上となっているかどうかは、外国人材が派遣されて働く農業経営体ごとに判断します。

複数の農業経営体で働く場合は、それぞれの農業経営体で行う農作業が半分以上となっている必要があります。

農作業の割合

 

雇用期間

フルタイムでの雇用契約が求められていますが、農繁期のみの契約期間とすることもでき、通算で3年までの契約期間とされています。

但し、技能実習従事後に、帰国後1年を経過していない者を外国人農業支援人材として雇用することはできません。

 

報酬額

特定機関から同じ農業経営体に派遣される日本人と同等の作業をする場合、その日本人と同等の報酬にしなければいけません。

該当する人がいない場合は、その農業経営体に雇用されて同じ作業をする日本人と同等の報酬とします。

これにも該当する者がいない場合は、事業実施区域内等における日本人同等活動従事者の報酬を勘案した報酬とします。

 

費用負担

特定機関は、渡航に要する費用その他の費用の負担者、負担割合等を関係当事者の合意により明確かつ適切に定め、これを文書により締結しなければいけません。

 

保証金・違約金の徴収禁止

保証金・違約金の徴収禁止特定機関は、外国人農業支援人材を受け入れるに当たって、外国人材本人だけではなく、家族等の密接な関係を有する者からも保証金の徴収をしてはいけません。

また、名目のいかんを問わず金銭その他の財産を管理してはいけません。

外国人材本人や家族等との間で、雇用契約の不履行に係る違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結してはいけません。

特定機関は、外国人材を受入れるにあたって、海外の斡旋機関など他の機関が関与する場合は、その海外の斡旋機関等と外国人材本人や家族等との間で、保証金の徴収若しくは財産の管理又は契約の締結をしていないことを確認しなければいけません。

 

住居の確保

住居の確保特定機関は、事業実施区域を含む都道府県内に外国人農業支援人材の住居を確保しなければいけません。

ただし、特定機関は、派遣先農業経営体の所在地その他の事情により、外国人農業支援人材による農業支援活動の提供に著しい支障を来すおそれがあり、かつ、外国人農業支援人材が同意するときは、派遣先農業経営体が保有する住居を外国人農業支援人材の住居とすることができます。

特定機関は、外国人農業支援人材が、居住地域において安心して日常生活を営むために必要な支援を適切に実施しなければいけません。

 

外国人の費用負担

特定機関は、食費、居住費、その他名目のいかんを問わず外国人農業支援人材に定期に費用を負担させるときは以下のようにしなければいけません。

  • 費用の対価として供与される食事、住居その他の利益の内容を十分に理解させる。
  • 当該外国人農業支援人材と文書をもって合意する。
  • 当該費用の額が実費に相当する額その他の適正な額とする。

 

研修の実施

特定機関は、外国人農業支援人材に対し、以下のような必要な研修を行わなければいけません。

 

農業支援活動に関する教育訓練

事業実施区域内で行われている農業に関する基本的な知識、機械の構造や操作に関する知識等についての研修。

 

日常生活及び農業支援活動に必要な日本語能力

買い物や交通機関の利用、近隣住民とのコミュニケーション等の際に使用する日本語、派遣先農業経営体等とのトラブル時の対応や、身を守るための対応及び警察や消防への通報等の緊急の場面で使用する日本語について必要な研修。

事業実施区域内で使用することが想定される農業機械、農業資材等の専門的な用語の習得など、農業支援活動を効果的かつ安全に実施するために必要な日本語について必要な研修。

 

在留上理解しておくべき関係法令

在留カードに関する手続、再入国許可手続、在留期間の更新手続、退去強制事由等の注意事項について説明。

<参考>

○ 各種手続案内
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/index.html

○ 入国管理局パンフレット(出入国管理のしおり)
http://www.immi-moj.go.jp/seisaku/index.html#sec_03

 

就業上理解しておくべき関係法令

労働条件や労働契約等に関する事項について説明。

<参考>

○ 知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000171194.pdf

○ これってあり?~まんが知って役立つ労働法 ~ Q&A
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000080504.pdf

 

苦情及び相談を受ける窓口

就労や生活に関する苦情・相談を受けることができる特定機関等の窓口について説明。(転職に係る相談を含む)

 

特定機関の役割

特定機関は人材を派遣するだけではなく、派遣先からの報告や適正受入管理協議会への報告、巡回指導や監査の受入、外国人材の保護など、さまざまな役割があります。

それでは、具体的にどのような役割があるのかをみてみましょう。

 

特定機関による外国人農業支援人材の派遣

特定機関は、派遣先農業経営体と外国人農業支援人材に係る労働者派遣契約を締結し、外国人農業支援人材を派遣します。

派遣先農業経営体が不適切な行為をした場合は、労働者派遣を停止、又は当該派遣先農業経営体との間の労働者派遣契約を解除しなければいけません。

また、適正受入管理協議会から是正のための措置の実施を求められた場合、適正受入管理協議会への報告を終えるまでの間、当該派遣先農業経営体に対する労働者派遣を一時停止するなど、必要かつ適切な対応をしなければいけません。

 

派遣先からの報告

特定機関は、以下に関して派遣先農業経営体から特定機関に報告させなければいけません。

3ヶ月に1回の報告

特定機関は、労働者派遣法第 42 条第3項に規定する通知のほか、少なくとも3ヶ月に1回、次に掲げる事項について派遣先農業経営体から特定機関に報告させなければいけません。

  • 報告期間内の外国人農業支援人材に従事させる業務と同等の業務に従事する日本人従業員の雇用状況
  • 報告期間内の外国人農業支援人材及び外国人農業支援人材に従事させる業務と同等の業務に従事する日本人従業員の就労状況
  • 報告期間内の外国人農業支援人材からの苦情又は相談の件数及びその内容
  • 労働条件の確保状況
  • 安全衛生の確保状況

速やかに報告

特定機関は、次に掲げる場合は、速やかに派遣先農業経営体から報告させなければいけません。

  • 派遣先農業経営体が第7第1項各号に該当しなくなった場合
  • 特定機関との労働者派遣契約の継続が困難となる事由(外国人農業支援人材が行方不明になった場合を含む。)が生じた場合
  • 外国人農業支援人材又は外国人農業支援人材による農業支援活動に関し重大な問題が生じた場合
  • その他本事業の適正かつ確実な実施を図るため報告が必要である場合

特定機関は、適正受入管理協議会から求めがあったとき、又は、特定機関が必要と認めるときは、速やかに、派遣先農業経営体から本事業の実施状況その他必要な事項について報告させなければいけません。

 

適正受入管理協議会への報告

特定機関は、以下に関して適正受入管理協議会に報告しなければいけません。

1ヶ月に1回の報告

特定機関は、次に掲げる事項について、1ヶ月に1回、別に定める様式により、適正受入管理協議会に報告しなければいけません。

  • 報告期間内の派遣先農業経営体数及び派遣先農業経営体の所在地
  • 報告期間内の外国人農業支援人材の派遣状況

 

3ヶ月に1回の報告

特定機関は、次に掲げる事項について、少なくとも3ヶ月に1回、別に定める様式により、適正受入管理協議会に報告しなければいけません。

  • 報告期間内の外国人農業支援人材及び外国人農業支援人材に従事させる業務と同等の業務に従事する日本人従業員の雇用状況
  • 報告期間内の外国人農業支援人材及び外国人農業支援人材に従事させる業務と同等の業務に従事する日本人従業員の就労状況
  • 報告期間内の外国人農業支援人材及び外国人農業支援人材に従事させる業務と同等の業務に従事する日本人従業員による農業支援活動の提供状況
  • 外国人農業支援人材に対する研修及び情報の提供その他の必要な支援の実施状況
  • 報告期間内の外国人農業支援人材及び派遣先農業経営体からの苦情又は相談の件数及びその内容
  • 労働条件の確保状況
  • 安全衛生の確保状況
  • 雇用保険、労働者災害補償保険、健康保険及び厚生年金保険への加入状況

 

速やかに報告

特定機関は、次に掲げる場合は、速やかに適正受入管理協議会に報告しなければいけません。

  • 第4の規定により申請した事項に変更が生じた場合(新たに外国人農業支援人材を雇用することになった場合及び雇用していた外国人農業支援人材が退職した場合を含む。)
  • 特定機関の基準のいずれかに適合しなくなった場合
  • 外国人農業支援人材の雇用の継続が不可能となる事由(外国人農業支援人材が行方不明になった場合を含む。)が生じた場合
  • 外国人農業支援人材又は外国人農業支援人材による農業支援活動に関し重大な問題が生じた場合
  • 第7第3項の規定による労働者派遣の一時停止等があった場合
  • その他本事業の適正かつ確実な実施を図るため報告が必要である場合

前各項のほか、特定機関は、適正受入管理協議会から求めがあったときは、速やかに、当該求めに応じた本事業の実施状況その他必要な事項について報告しなければいけません。

適正受入管理協議会

 

適正受入管理協議会による巡回指導及び監査

適正受入管理協議会による巡回指導及び監査特定機関は、第9の報告内容等について、少なくとも1年に1回、外国人農業支援人材を雇用している本社又は直営事業所において、適正受入管理協議会による巡回指導を受けなければいけません。

特定機関は、次に掲げる事項について、少なくとも1年に1回、外国人農業支援人材を雇用している本社又は直営事業所において、適正受入管理協議会による監査を受けなければいけません。

  • 適正な農業支援活動の提供に関すること。
  • 適正な労働条件の確保(第5第3項の規定による同等の農業支援活動に日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の報酬の確保を含む。)に関すること。
  • 安全衛生の確保に関すること。
  • 雇用保険、労働者災害補償保険、健康保険及び厚生年金保険への加入に関すること。
  • 出入国管理及び難民認定法の遵守に関すること。
  • その他適正受入管理協議会が必要と認めること。

前項のほか、特定機関は、適正受入管理協議会が第9の報告内容又は第1項の巡回指導の結果等により必要と判断した場合には、前項に準じて監査を受けなければいけません。

巡回指導又は監査において、適正受入管理協議会から求めがあったときは、書面の提示その他適切な方法により説明しなければいけません。

また、適正受入管理協議会が期限を定め是正のための措置を講ずることを求めたときは、当該期間内に当該是正のための措置を講じ、その内容について適正受入管理協議会に報告しなければいけません。

 

派遣先農業経営体への現地調査

特定機関は、適正受入管理協議会が第9の報告内容等について確認するため現地調査が必要と判断した場合には、派遣先農業経営体に、適正受入管理協議会による現地調査を受けさせなければいけません。

前項の現地調査の結果、適正受入管理協議会が期限を定め是正のための措置を講ずることを求めたときは、当該期間内に派遣先農業経営体と連携して、是正のための措置を講じ、その内容について適正受入管理協議会に報告しなければいけません。

 

外国人農業支援人材の保護

特定機関は、外国人農業支援人材の苦情及び相談を受ける窓口を設け、適切に対応できる体制にする必要があります。

派遣先農業経営体において外国人農業支援人材が不当に扱われた場合等に対応して、外国人農業支援人材を保護する仕組みを設けなければいけません。

特定機関は、外国人農業支援人材が前項の規定により苦情を申し述べ、又は相談を行ったことを理由として、当該外国人農業支援人材に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはいけません。

 

帰国旅費の確保その他の帰国担保措置

特定機関は、外国人農業支援人材が病気等のやむを得ない理由により帰国旅費を支弁できないときは、当該帰国旅費を負担しなければいけません。

特定機関が倒産等のやむを得ない理由により帰国旅費を負担することができないときに当該帰国費用が確保されるよう必要な措置を講じておかなければいけません。

帰国旅費について、賃金の控除等により当該外国人農業支援人材に負担させてはいけません。

 

外国人農業支援人材の雇用の継続が不可能となった場合の措置

特定機関は、当該特定機関が特定機関の基準に適合しなくなった場合その他特定機関に起因する理由によって外国人農業支援人材の雇用の継続が不可能となった場合、外国人農業支援人材本人に責がなく、かつ本人が継続して本事業による在留を希望するときは、当該外国人農業支援人材を受け入れる新たな特定機関を確保するよう努めなければいけません。

 

特定機関相互の連携

特定機関は、本事業の円滑かつ確実な実施を図るため、すべての特定機関により構成する協議会を設けるよう努めるものとされています。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

特定機関は農業支援外国人材を派遣するという点で、通常の派遣業務とは異なっていることがお分かりいただけたかと思います。

農業分野での人手不足は大きな問題となっていますが、そこで働く外国人の労働環境も大きな社会問題になっています。

雇用者側も労働者側も双方が満足するような労働環境を整備することが、長期的な人手不足の解消に繋がるのだと思います。

 

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