1号特定技能外国人支援に関する運用要領

1号特定技能外国人支援に関する運用要領

運用要領別冊

1号特定技能外国人支援に関する運用要領
-1号特定技能外国人支援計画の基準について

平成31年3月
法務省編
(制定履歴)
平成31年3月20日公表

特定技能の在留資格に係る制度(以下「特定技能制度」という。)は,中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため,生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるために創設されました。

特定技能制度においては,出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(以下「入管法」という。)第2条の5第6項及び第19条の22第1項の規定に基づき,「特定技能1号」で在留する外国人(以下「1号特定技能外国人」という。)との間で雇用に関する契約を締結する本邦の公私の機関(以下「特定技能所属機関」という。)は,1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援(以下「1号特定技能外国人支援」という。)を実施する必要があります。

そのため,特定技能所属機関については,1号特定技能外国人支援計画(入管法第2条の5第6項に規定する「1号特定技能外国人支援計画」をいう。以下同じ。)を作成するほか,当該支援計画が「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」の基準に適合していることなどが求められます。

本要領は,1号特定技能外国人支援計画の基準等の詳細についての留意事項を定めることにより,特定技能所属機関又は当該機関との契約により1号特定技能外国人支援の全部又は一部の委託を受けた者による1号特定技能外国人支援の適正な運用を図ることを目的としています。

 

第1 1号特定技能外国人支援計画の基準等

【関係規定】
入管法(特定技能雇用契約等)
第2条の5
5 特定技能所属機関(第19条の18第1項に規定する特定技能所属機関をいう。以下この項において同じ。)が契約により第19条の27第1項に規定する登録支援機関に適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合には,当該特定技能所属機関は,第3項(第2号に係る部分に限る。)の規定に適合するものとみなす。
6 別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする本邦の公私の機関は,法務省令で定めるところにより,当該機関が当該外国人に対して行う,同号に掲げる活動を行おうとする外国人が当該活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援(次項及び第4章第1節第2款において「1号特定技能外国人支援」という。)の実施に関する計画(第8項,第7条第1項第2号及び同款において「1号特定技能外国人支援計画」という。)を作成しなければならない。
8 1号特定技能外国人支援計画は,法務省令で定める基準に適合するものでなければならない。

特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の基準)
第4条 法第2条の5第8項の法務省令で定める基準は,次のとおりとする。
一 法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人に対する職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容が,当該外国人の適正な在留に資するものであって,かつ,特定技能所属機関(契約により他の者に1号特定技能外国人支援の全部の実施を委託した特定技能所属機関を除く。)及び特定技能所属機関から契約により1号特定技能外国人支援の全部又は一部の実施の委託を受けた者において適切に実施することができるものであること。
二 前条第1項第1号イに掲げる支援が,対面により又はテレビ電話装置その他の方法により実施されることとされていること。
三 前条第1項第1号イ,ニ,ト及びヌ(外国人との定期的な面談の実施の場合に限る。)に掲げる支援が,外国人が十分に理解することができる言語により実施されることとされていること。
四 1号特定技能外国人支援の一部の実施を契約により他の者に委託する場合にあっては,その委託の範囲が明示されていること。
(注:第3条第1項第1号イ,ニ,ト及びヌについては,それぞれ本要領第2(1)事前ガイダンスの提供,同(4)生活オリエンテーションの実施,同(6)相談又は苦情への対応,同(9)定期的な面談の実施,行政機関への通報の項目を参照。)

特定技能所属機関は,1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援(1号特定技能外国人支援)の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成しなければなりません。

1号特定技能外国人に対する支援は,必ず行わなければならない「義務的支援」のほか,これに加えて任意的に行う「任意的支援」に分けられます(以下,それぞれの支援項目において,「義務的支援」と「任意的支援」を説明しています。)。

義務的支援はその全てを行う必要があり,1号特定技能外国人支援計画には全ての義務的支援を記載しなければなりません。

また,義務的支援の全てを行わなければ,1号特定技能外国人支援計画を適正に実施していないこととなります(技能実習2号等から特定技能1号に在留資格を変更した場合などで,客観的状況に照らして明らかに不要な支援は除く。)。

特定技能所属機関は,契約により他の者に1号特定技能外国人支援の全部又は一部の実施を委託することができます。

このうち,契約により登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合には,特定技能所属機関は,1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保の基準に適合するものとみなされますが,この場合以外は,特定技能所属機関が自ら1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保の基準に適合することが求められます。

特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合でも,当該登録支援機関の体制からして実効性ある支援を行うことができないと認められるときは,1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保の基準(特定技能基準省令第4条第1号の規定)により受入れが認められない場合があります。

登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合であっても,1号特定技能外国人支援計画の作成については,特定技能所属機関が行うこととなりますが,登録支援機関が必要に応じて支援計画の作成の補助を行うことは差し支えありません。

特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援の一部の実施を契約により登録支援機関その他の者に委託する場合には,1号特定技能外国人支援計画において,その委託の範囲が明示されている必要があります。

登録支援機関は,特定技能所属機関から委託を受けた1号特定技能外国人支援計画の実施を他の者に委託することはできません。

もっとも,その実施に当たり,通訳等必要な範囲で,他の者に実施の補助を依頼することは差し支えありません。

1号特定技能外国人支援計画については,日本語で作成するほか,1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語で作成し,1号特定技能外国人にその写しを交付するとともに,支援計画の内容を説明した上,当該1号特定技能外国人が十分に理解したことについて署名を得る必要があります。

「十分に理解することができる言語」とは,特定技能外国人の母国語には限りませんが,当該外国人が内容を余すことなく理解できる言語をいいます。

後記の第2(1),(4),(6)及び(9)((9)については,外国人との定期的な面談の実施の場合に限る。)に掲げる支援については,外国人が十分に理解することができる言語により行うことが求められます。

1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により支援を行うに当たり,当該外国人とのコミュニケーションを円滑に行えることを前提に,場合によっては翻訳機の活用も可能ですが,例えば込み入った相談・苦情対応等を行うような場合には,通訳人の介在が不可欠と考えられます。

特定技能所属機関は,1号特定技能外国人支援に要する費用について,直接又は間接に当該外国人に負担させることはできません。

1号特定技能外国人の送出しに必要となる費用(例えば,渡航前の技能又は日本語の教育費や渡航費用など)について,特定技能所属機関は,送出し国の法令やガイドラインを踏まえて,その全部又は一部を負担することが推奨されます(なお,送出し国によっては,認定された送出機関を通じてのみ受入れが許容され,送出しに必要となる費用についてガイドライン等で公表されている場合がありますので,留意してください。)。

 

第2 1号特定技能外国人支援計画の内容等

(1)事前ガイダンスの提供

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
イ 法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人に係る在留資格認定証明書の交付の申請前(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に
在留している場合にあっては,在留資格の変更の申請前)に,当該外国人に対し,特定技能雇用契約の内容,当該外国人が本邦において行うことができる活動の内容,上陸及び在留のための条件その他の当該外国人が本邦に上陸し在留するに当たって留意すべき
事項に関する情報の提供を実施すること。
第4条 法第2条の5第8項の法務省令で定める基準は,次のとおりとする。
二 前条第1項第1号イに掲げる支援が,対面により又はテレビ電話装置その他の方法により実施されることとされていること。

上陸基準省令(特定技能1号)
二 申請人又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他申請人と社会生活において密接な関係を有する者が,特定技能雇用契約に基づく申請人の本邦における活動に関連して,保証金の徴収その他名目のいかんを問わず,金銭その他の財産を管理されず,かつ,特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約が締結されておらず,かつ,締結されないことが見込まれること。
三 申請人が特定技能雇用契約の申込みの取次ぎ又は外国における法別表第1の2の表の
特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動の準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合にあっては,その額及び内訳を十分に理解して当該機関との間で合意していること。

 

〔義務的支援〕

特定技能所属機関又は当該機関との契約により1号特定技能外国人支援計画の全部の委託を受けた登録支援機関(以下「特定技能所属機関等」という。)は,特定技能雇用契約の締結時以後,1号特定技能外国人に係る在留資格認定証明書の交付の申請前(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している場合にあっては,在留資格の変更の申請前)に,当該外国人に対し,特定技能雇用契約の内容,当該外国人が本邦において行うことができる活動の内容,上陸及び在留のための条件その他の当該外国人が本邦に上陸し在留するに当たって留意すべき事項に関する情報の提供(以下「事前ガイダンス」という。)を実施することが求められます。

事前ガイダンスで情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

  • 1号特定技能外国人に従事させる業務の内容報酬の額その他の労働条件に関する事項
  • 本邦において行うことができる活動の内容(法別表第1の2の表の「特定技能」の項の下欄第1号に掲げる活動であること,技能水準が認められた業務区分に従事すること)
  • 入国に当たっての手続に関する事項(新たな入国の場合は,交付された在留資格認定証明書の送付を特定技能所属機関から受け,受領後に管轄の日本大使館・領事館で査証申請を行い,在留資格認定証明書交付日から3か月以内に日本に入国すること,既に在留している場合は,在留資格変更許可申請を行い,在留カードを受領する必要があること)
  • 1号特定技能外国人又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が,特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して,保証金の徴収その他名目のいかんを問わず,金銭その他の財産を管理されず,かつ,特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約の締結をしておらず,かつ,締結させないことが見込まれること(保証金等の支払や違約金等に係る契約を現にしていないこと及び将来にわたりしないことについて確認する。
  • 1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約の申込みの取次ぎ又は外国における特定技能1号の活動の準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合は,その額及び内訳を十分理解して,当該機関との間で合意している必要があること(支払費用の有無,支払った機関の名称,支払年月日,支払った金額及びその内訳について確認する。
  • 1号特定技能外国人支援に要する費用について,直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていること(義務的支援に要する費用は特定技能所属機関等が負担する。)
  • 特定技能所属機関等が1号特定技能外国人が入国しようとする港又は飛行場において当該外国人を出迎え,特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)までの送迎を行うこと
  • 1号特定技能外国人のための適切な住居の確保に係る支援の内容(社宅等を貸与予定の場合は広さのほか,家賃等外国人が負担すべき金額を含む。)
  • 1号特定技能外国人からの職業生活,日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申出を受ける体制(例えば,○曜日から○曜日の○時から○時まで面談・電話・電子メールの方法により相談又は苦情を受けることができること等)
  • 特定技能所属機関等の支援担当者氏名,連絡先(メールアドレス等)

事前ガイダンスは,対面又はテレビ電話装置若しくはその他の方法(インターネットによるビデオ通話など)により,本人であることの確認を行った上で,実施することが求められます。文書の郵送や電子メールの送信のみによることは認められません

事前ガイダンスは,1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

 

〔任意的支援〕

特定技能所属機関等は,義務的支援として提供する情報に加え,次の事項について任意的に情報の提供をすることが考えられます。

  • 入国時の日本の気候,服装
  • 本国から持参すべき物,持参した方がよい物,持参してはならない物
  • 入国後,当面必要となる金額及びその用途
  • 特定技能所属機関等から支給される物(作業着等)

事前ガイダンス実施後,就労開始前であっても1号特定技能外国人からの相談に適切に応じることとしていることが望まれます。

1号特定技能外国人の往路の航空券代を含む渡航準備費用や入国後の当面の生活費等のため,特定技能所属機関等が当該外国人に貸し付けをすることは差し支えありません(なお,その返済方法について,労働法令に違反することがないよう留意することが求められます。)。

 

【確認対象の書類】

 

【留意事項】

保証金の徴収」とは,名目のいかんを問わず,金銭その他の財産を管理されることをいい,「違約金を定める契約」とは,名目のいかんを問わず,契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約のことをいいます。

「保証金の徴収その他名目のいかんを問わず,金銭その他の財産を管理され」ないことについては,特定技能所属機関や登録支援機関のほか,職業紹介事業者などの特定技能雇用契約に基づく特定技能外国人の本邦における活動に関与する仲介業者のみならず,本国及び日本の仲介事業者(ブローカー)等を含め,幅広く規制の対象とするものです(このため,本規定は特段相手方を特定していません。)。

この規定は,1号特定技能外国人のみならず,当該外国人又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者まで対象としています。

「特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」とは,特定技能所属機関から失踪することなど労働契約の不履行に係る違約金を定める契約のほか,地方出入国在留管理局や労働基準監督署等への法令違反に係る相談をすること,休日に許可を得ずに外出すること若しくは作業時間中にトイレ等で離席すること等を禁じて,その違約金を定める契約又は商品若しくはサービスの対価として不当に高額な料金の徴収を予定する契約などが該当します。

「金銭その他の財産」とは,金銭だけでなく,有価証券,土地,家屋,物品等の金銭的な価値のあるものをいいます。

特定技能外国人が「特定技能」に係る活動を行うに当たり,保証金の徴収その他財産等の管理を受け又は違約金契約を締結させられているなどの場合は,特定技能の適正な活動を阻害するおそれがあることから,これらの契約を締結しておらず,また,今後も締結されないことが見込まれることが求められます。

当該外国人と「社会生活において密接な関係を有する者」に該当するか否かについては,その者が金銭的な負担を負うことが,特定技能外国人が労働を強制される契機となったり,足止め策として自由に転職・退職できないなどの要因となり得るか否かで決まることとなります。

特定技能所属機関が事前ガイダンスの実施を現地の送出機関に委託することも排除はされませんが,例えば送出機関が保証金を徴収しているような場合には,適切に事前ガイダンスを実施することが期待できないため,特定技能所属機関が支援の体制の基準を満たしていないと判断される可能性があることに留意する必要があります。

事前ガイダンスを実施した場合は,事前ガイダンスの確認書(参考様式第1-7号)を1号特定技能外国人に示して確認の上,署名を得る必要があります。

事前ガイダンスは,1号特定技能外国人が十分に理解できるまで行う必要があり,個別の事情によりますが,事前ガイダンスで情報提供する事項を十分に理解するためには,3時間程度行うことが必要と考えられます。

 

(2)出入国する際の送迎

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
ロ 当該外国人が出入国しようとする港又は飛行場において当該外国人の送迎をすること。

 

〔義務的支援〕

入国する際については,1号特定技能外国人が上陸の手続を受ける港又は飛行場と特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)の間の送迎を行うことが求められます。

出国する際については,1号特定技能外国人が出国の手続を受ける港又は飛行場まで送迎を行うことが求められます。

また,出国する際の送迎では,単に港又は飛行場へ当該外国人を送り届けるだけではなく,保安検査場の前まで同行し,入場することを確認する必要があります。

 

〔任意的支援〕

入国する際の送迎については,技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更した外国人が既に本邦に在留している場合には当該支援の対象となりません。

ただし,この場合であっても,特定技能所属機関等の判断により,本邦内の移動について送迎を実施することや,本邦内の移動に要する費用を特定技能所属機関等が負担することとしても差し支えありません。

なお,送迎を実施しない場合には,当該外国人が円滑に特定技能所属機関まで到着できるよう,本邦における交通手段や緊急時の連絡手段を伝達しておくことが望まれます。

 

【留意事項】

入国する際の送迎が過度な負担にならないよう,事前ガイダンスの機会を利用して最寄りの港又は飛行場を案内するなど,出迎えに適した入国経路を決めておくことが推奨されます。

出国する際の送迎を実施するに当たり,既に1号特定技能外国人が就労期間中に居住していた住居から退去している場合には,当該外国人の滞在先(ホテル等)の把握及び当該外国人と確実に連絡をとる手段の確保を行う必要があります。

送迎が安全かつ確実に実施できる方法であれば,車両(社用車や自家用車)を利用して支援を実施するほか,公共交通機関やタクシーを利用して実施することも可能です。

1号特定技能外国人が出入国しようとする港又は飛行場と特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)等の間の送迎に要する費用(当該外国人及び同行者の交通費等)は,特定技能所属機関等が負担することとなります。

出入国する際の送迎に係る支援には,一時帰国の際の出入国は含まれません。

 

(3)適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
ハ 当該外国人が締結する賃貸借契約に基づく当該外国人の債務についての保証人となることその他の当該外国人のための適切な住居の確保に係る支援をすることのほか,銀行その他の金融機関における預金口座又は貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること。

 

(3-1)適切な住居の確保に係る支援〔義務的支援〕

住居の確保に係る支援として,次のいずれかを行うことが求められます。

① 1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締結するに当たり,不動産仲介事業者や賃貸物件に係る情報を提供し,必要に応じて当該外国人に同行し,住居探しの補助を行う。

賃貸借契約に際し連帯保証人が必要な場合であって,連帯保証人として適当な者がいないときは,少なくとも

  • 特定技能所属機関等が連帯保証人となる
  • 利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに,特定技能所属機関等が緊急連絡先となる

のいずれかの支援を行う。

特定技能所属機関等が自ら賃借人となって賃貸借契約を締結した上で,1号特定技能外国人の合意の下,当該外国人に対して住居として提供する。

③ 特定技能所属機関が所有する社宅等を,1号特定技能外国人の合意の下,当該外国人に対して住居として提供する。

居室の広さは,一般的に我が国に相当数存在する居室の面積等を考慮し,1人当たり 7.5 ㎡以上を満たすことが求められます(ただし,技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する場合等であって,特定技能所属機関が既に確保している社宅等の住居に居住することを希望する場合を除く。)。

 

〔任意的支援〕

1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約の解除・終了後,次の受入先が決まるまでの間,住居の確保の必要性が生じた場合には,直近の特定技能所属機関等は,上記の支援を行うことなどにより当該外国人の日常生活の安定・継続性に支障が生じないよう配慮することが望まれます。

 

【留意事項】

住居については,同等の業務を行う日本人と同等の処遇を確保する必要があります。

例えば,日本人労働者に社宅を提供するのであれば同等に社宅を提供する必要があり,居室の広さについても,同等の広さを確保する必要があります。

技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する外国人において既に住居を確保しており,同住居に引き続き居住する場合など,住居の確保に係る支援が客観的状況に照らして明らかに不要である場合には,実施しなくても差し支えありません。

ただし,上記住居から退去せざるを得なくなった場合などには,新たな住居の確保に係る支援が必要となります。

住居の確保に係る支援については,居室の広さや衛生面など適切な住居を確保できるよう支援を行う必要があります(1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締結する住居は当該外国人の意思に委ねられますが,その場合でも,適切な住居の確保に係る支援は行うことが必要です。)。

①については,住居の賃貸人から,特定技能所属機関等が連帯保証人になるのではなく,自ら賃借人となることを求められる場合が想定され,その場合は1号特定技能外国人が適切に住居を確保できるように,②の支援を含め必要な支援を行っていただく可能性があります。

なお,①において家賃債務保証業者を利用した場合には,保証料は特定技能所属機関等が負担する必要があります。

②については,住居の賃貸人の理解も得られやすく,①の連帯保証人の問題も起きないと考えられます。

①及び②の場合には,当該住居への入居から明渡しまで円滑に進むように適切に支援することが求められます。

②及び③の場合であって特定技能所属機関等が自ら賃借人となるときは,提供する住居の家賃が近隣の同程度の民間賃貸住宅の賃料相場を超えないこと,社宅等を提供する場合には,他の入居者の家賃の額と同等であることが求められます。

敷金,礼金等については,1号特定技能外国人において負担するものであり,特定技能所属機関において負担することを求めるものではありませんが,本人の希望や近隣賃貸物件の敷金等の相場,報酬額等を踏まえ,適切な住居を確保することができるように支援することになります。

なお,特定技能所属機関等において敷金,礼金等を任意に全額負担することや,別途1号特定技能外国人と負担割合を合意して一部負担することなどは妨げられません

1号特定技能外国人に社宅等を貸与することにより経済的利益を得てはなりません

住居の確保に係る支援は,1号特定技能外国人の離職が決まった後も,特定技能雇用契約がある間は行うことが求められることに留意する必要があります。

居室の広さについては,技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する場合等であって,特定技能所属機関が在留資格変更許可申請(又は在留資格認定証明書交付申請)の時点で既に確保している社宅等の住居に居住することを希望する場合であっても,少なくとも技能実習生について求められている寝室について1人当たり 4.5 ㎡以上を満たす必要があります。

 

(3-2)生活に必要な契約に係る支援〔義務的支援〕

銀行その他の金融機関における預金口座又は貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約(電気・ガス・水道等のライフライン)に関し,1号特定技能外国人に対し,必要な書類の提供及び窓口の案内を行い,必要に応じて当該外国人に同行するなど,当該各手続の補助を行うことが求められます。

 

〔任意的支援〕

生活に必要な契約について,契約の途中において,契約内容の変更や契約の解約を行う場合には,各手続が円滑に行われるよう,必要な書類の提供及び窓口の案内を行い,必要に応じて当該外国人に同行するなど,当該各手続の補助を行うことが望まれます。

 

【留意事項】

技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する外国人において既に口座開設等を行っている場合など,当該支援が客観的状況に照らして明らかに不要である場合には,実施しなくても差し支えありません。

 

(4)生活オリエンテーションの実施

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。
(1) 本邦での生活一般に関する事項
(2) 法第19条の16その他の法令の規定により当該外国人が履行しなければならない又は履行すべき国又は地方公共団体の機関に対する届出その他の手続
(3) 特定技能所属機関又は当該特定技能所属機関から契約により一号特定技能外国人支援の実施の委託を受けた者において相談又は苦情の申出に対応することとされている者の連絡先及びこれらの相談又は苦情の申出をすべき国又は地方公共団体の機関の連絡先
(4) 当該外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関に関する事項
(5) 防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項
(6) 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他当該外国人の法的保護に必要な事項
ホ 当該外国人がニ(2)に掲げる届出その他の手続を履行するに当たり,必要に応じ,関係機関への同行その他の必要な支援をすること。

 

〔義務的支援〕

特定技能所属機関等において1号特定技能外国人が本邦に入国した後(又は在留資格の変更許可を受けた後)に行う情報の提供(以下「生活オリエンテーション」という。)については,当該外国人が本邦における職業生活,日常生活及び社会生活を安定的かつ円滑に行えるようにするため,入国後(又は在留資格の変更後),遅滞なく実施する必要があります。

生活オリエンテーションは,1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

生活オリエンテーションは,1号特定技能外国人が十分に理解できるまで行う必要があり,個別の事情により異なりますが,少なくとも8時間以上行うことが求められます。

 

【留意事項】

生活オリエンテーションを実施した場合は,生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)を1号特定技能外国人に示して確認の上,署名を得て記録しておく必要があります。

生活オリエンテーションで提供する本邦での生活一般に関する事項,防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項その他の事項に係る情報は,必要に応じ,後記(9)の1号特定技能外国人との定期的な面談において改めて提供することが求められます。

生活オリエンテーションで情報提供する際の参考として,外国人の安全・安心のために必要な基礎的情報が掲載されたポータルサイトやガイドブック(「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を受けて作成されたもの)を参照してください。

 

【関係規定】
特定技能基準省令第3条第1項第1号
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。

(1) 本邦での生活一般に関する事項

情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

① 金融機関の利用方法

  • 金融機関における入出金・振込等の方法,利用可能な時間,ATMの使い方,手数料等
  • 出国する場合など,自己名義の銀行口座が不要となるときは,口座を閉鎖する手続を行うこと,ただし,将来再び入国するときのために口座を継続して利用する希望がある場合には,出国前に銀行に相談すること

 

② 医療機関の利用方法等

  • 利用可能な医療機関(症状別),医療機関での受診方法,保険証を持参すること等
  • アレルギー・宗教上の理由により治療に制限がある場合は,医療機関にその旨を説明すること

 

③ 交通ルール等

  • 歩行者は右側通行,車両は左側通行・歩行者優先であること,自転車損害賠償責任保険等
  • 自動車,バイク等を運転する場合は運転免許が必要であること(必要に応じて,運転免許の取得方法)

 

④ 交通機関の利用方法等

  • 就労・生活する地域の公共交通機関(通勤に最適な公共交通機関)及びその利用方法
  • 勤務先までの経路及び所要時間
  • 通勤定期又は切符の購入・利用方法
  • ICカードの購入・利用方法等

 

⑤ 生活ルール・マナー

  • 就労・生活する地域におけるゴミの廃棄方法等(分別・出し方,収集日,粗大ゴミの捨て方等)
  • 夜中に大声で騒いだり騒音を出したりするなど,近隣住民の迷惑になる行為は控えること
  • 喫煙には一定の制限があること(喫煙,禁煙場所等)

 

⑥ 生活必需品等の購入方法等

  • 就労・生活する地域のスーパーマーケット,コンビニエンスストア,ドラッグストア,家電量販店等の所在地等

 

⑦ 気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等

  • 気象情報・災害情報に関するホームページ,アプリ,出身国別の外国人向けのコミュニティサイト等

 

⑧ 我が国で違法となる行為の例

  • 原則として,銃砲刀剣類の所持が禁止されていること
  • 大麻,覚せい剤等違法薬物の所持等は犯罪であること
  • 在留カードの不携帯は犯罪であること
  • 在留カード,健康保険証等を貸し借りすることは禁止されていること
  • 自己名義の銀行口座・預貯金通帳・キャッシュカード・携帯電話を他人に譲渡することは犯罪であること
  • ATMで他人名義の口座から無断で現金を引き出すことは犯罪であること
  • 他人になりすまして,配達伝票に署名したり,他人の宅配便を受領することは犯罪であること
  • 放置されている他人の自転車等を使用することは犯罪であること 等

 

【関係規定】
特定技能基準省令第3条第1項第1号
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。

(2) 法第19条の16その他の法令の規定により当該外国人が履行しなければならない又は履行すべき国又は地方公共団体の機関に対する届出その他の手続
ホ 当該外国人がニ(2)に掲げる届出その他の手続を履行するに当たり,必要に応じ,関係機関への同行その他の必要な支援をすること。

情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

① 所属機関等に関する届出(入管法第19条の16関係)
特定技能所属機関の名称又は所在地の変更,その消滅,特定技能所属機関との契約の終了又は新たな契約の締結

② 住居地に関する届出(入管法第19条の7から第19条の9まで)新規上陸後の住居地届出,在留資格変更等に伴う住居地の届出,住居地の変更届出

③ 社会保障及び税に関する手続

 

ア 社会保障に関する手続

未納がある場合には在留諸申請が不許可になる場合がある(在留期間更新及び在留資格変更の申請において保険料の納付状況を確認する)こと

  • 健康保険及び厚生年金保険に関する手続・制度(保険料が給与から天引きされること)
    (注)特定技能所属機関が適用事業所の場合(法人事業所,常時5人以上の従業員を使用する個人経営の事業所(農林漁業,サービス業等の事業所は除く。))
  • 国民健康保険及び国民年金に関する手続(外国人自身が手続を行う必要があること)
    (注)特定技能所属機関が適用事業所以外の場合又は当該外国人が適用事業所を離職する場合

イ 税に関する手続

※ 未納がある場合には在留諸申請が不許可になる場合がある(在留期間更新及び在留資格変更の申請において税の納付状況を確認する)こと

源泉徴収・特別徴収制度(所得税・住民税は,原則として給与から天引きされること)

住民税納付の仕組み(前年の給与所得がない場合は入社2年目の年から納税が始まり,原則として離職後の翌年まで納税義務があること,離職後の納税については一括納税や納税管理人制度の利用も可能であること,転職により離職する場合には,転職先において,引き続き,未納税額を給与から天引きすることも可能であること)

 

ウ その他

個人番号(マイナンバー)制度の仕組み(マイナンバーは日本国内での社会保障・税・災害対策の分野で利用されるものであること,住所地で住民票が作成された後,マイナンバーを通知するカード(通知カード(紙製))が自宅に郵送されること,マイナンバーカード(写真付きICカード)が申請により取得できること,マイナンバーカードは市町村によってはコンビニエンスストアで住民票の写し等の証明書を取得できるなど,各種サービスに利用できること)

 

④その他の行政手続

自転車防犯登録の方法等(店頭又はインターネットで購入した場合や他人等から譲り受けた場合の登録方法,盗難又は撤去された場合の対応)

1号特定技能外国人が,これらの届出・手続を履行するに当たっては,必要に応じ,特定技能所属機関等が当該届出・手続を行う関係行政機関の窓口へ同行し,書類作成の補助をするなどの必要な支援を行わなければなりません(特に,国民健康保険及び国民年金に関しては,外国人自身が手続を行う必要があることから,手続を円滑かつ適切に進めるために同行することが望ましい。)。

 

【関係規定】
特定技能基準省令第3条第1項第1号
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。

(3) 特定技能所属機関又は当該特定技能所属機関から契約により一号特定技能外国人支援の実施の委託を受けた者において相談又は苦情の申出に対応することとされている者の連絡先及びこれらの相談又は苦情の申出をすべき国又は地方公共団体の機関の連絡先

情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

① 特定技能所属機関又は当該機関から契約により1号特定技能外国人支援の実施の委託を受けた登録支援機関その他の者において相談又は苦情の申出に対応することとされている者の連絡先として次の事項

  • 支援担当者の氏名
  • 支援担当者の電話番号,メールアドレス等

 

② 相談又は苦情の申出をすることができる国又は地方公共団体の機関の連絡先として次の事項

  • 地方出入国在留管理局(入国・在留に関する相談)
  • 労働基準監督署(残業代を含む賃金の未払やその他労働条件に関する事項(労働時間,休暇など),仕事中にけがをしたときなど労働に関する相談)
  • ハローワーク(失業等給付の受給手続に関する相談,職業相談)
  • 法務局・地方法務局(差別,いじめ等人権に関する問題の相談)
  • 警察署(犯罪被害相談や交通事故事件相談等)
  • 最寄りの市区町村(住民税,国民健康保険,国民年金や行政サービスに関する相談)
  • 弁護士会,日本司法支援センター(法テラス)(民事や刑事などの様々な法的なトラブルが生じた場合の相談)
  • 大使館・領事館(パスポートの棄損・紛失等)等

 

【関係規定】
特定技能基準省令第3条第1項第1号
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。

(4) 当該外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機
関に関する事項

情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

  • 通訳人が配置されている又はインターネットや電話による医療機関向け通訳サービスが導入されているなど,外国人患者の受入れ体制が整備されている病院の名称,所在地及び連絡先
  • 医療に関する支援の一環として,予期せぬ病気やけがの際に,高額な医療費の支払に不安を感じることなく,安心して医療サービスを受けることができるよう,医療通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内

 

【関係規定】
特定技能基準省令第3条第1項第1号
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。

(5) 防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項

情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

  • トラブル対応や身を守るための方策(地震・津波・台風等の自然災害,事件・事故等への備え,火災の予防(たばこの不始末,コンロ・ストーブの取扱い,消火器の使い方))
  • 緊急時の連絡先・場所,警察・消防・海上保安庁等への通報・連絡の方法(110 番・119 番・118 番,大使館・領事館,最寄りの警察署・交番,救急医療機関への連絡方法)
  • 気象情報・避難指示・避難勧告等の把握方法,災害時の避難場所

 

【関係規定】
特定技能基準省令第3条第1項第1号
ニ 当該外国人が本邦に入国した後(当該外国人が他の在留資格をもって本邦に在留している者である場合にあっては,在留資格の変更を受けた後),次に掲げる事項に関する情報の提供を実施すること。

(6) 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他当該外国人の法的保護に必要な事項

情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。

  • 入管法令(在留手続,みなし再入国制度,在留資格の取消し及び在留カードに関する手続等)及び労働関係法令(労働契約,労働保険制度,休業補償制度,労働安全衛生及び未払賃金に関する立替払制度)に関する知識
  • 入管法令に関する違反がある場合(資格外活動違反,不法就労者雇用等),その相談先(地方出入国在留管理局)及び連絡方法
  • 労働に関する法令違反がある場合(残業代を含む賃金の不払い,36協定を超えた時間外・休日労働等),その相談先(労働基準監督署又は地方出入国在留管理局)及び連絡方法
  • 特定技能雇用契約に反することがあった場合,その相談先(地方出入国在留管理局又は労働基準監督署)及び連絡方法
  • 人権侵害があった場合,その相談先(法務局・地方法務局又は地方出入国在留管理局)及び連絡方法
  • 年金の受給権に関する知識(老齢年金の受給資格期間は10年であることや,一定の要件を満たした場合には障害年金や遺族年金等の受給権が得られることを含む。)及び脱退一時金制度に関する知識(脱退一時金を受給した場合,その額の計算の基礎となった被保険者期間は,被保険者でなかったものとみなされることを含む。),それらの相談先(日本年金機構)及び連絡方法

 

(5)日本語学習の機会の提供

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
ヘ 本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること。

 

〔義務的支援〕

日本語を学習する機会の提供については,次のいずれかの支援を行う必要があります。

  • ① 就労・生活する地域の日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内の情報を提供し,必要に応じて1号特定技能外国人に同行して入学の手続の補助を行うこと
  • ② 自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し,必要に応じて日本語学習教材の入手やオンラインの日本語講座の利用契約手続の補助を行うこと
  • ③ 1号特定技能外国人との合意の下,特定技能所属機関等が日本語講師と契約して,当該外国人に日本語の講習の機会を提供すること

 

〔任意的支援〕

義務的支援に加え,次の支援を行うことが考えられます。

  • 支援責任者又は支援担当者その他職員による1号特定技能外国人への日本語指導・講習の積極的な企画・運営を行うこと
  • 1号特定技能外国人の自主的な日本語の学習を促すため,日本語能力に係る試験の受験支援や資格取得者への優遇措置を講じること
  • 日本語学習を実施する場合において,特定技能所属機関等の判断により,日本語教室や日本語教育機関の入学金や月謝等の経費,日本語学習教材費,
  • 日本語講師との契約料等諸経費の全部又は一部を当該機関自ら負担する補助等の学習のための経済的支援を行うこと

 

【留意事項】

日本語習得は継続的な学習により促進されるものであるため,1号特定技能外国人の日本語の習得状況に応じた適切かつ継続的な学習の機会を提供していくことが必要です。

 

(6)相談又は苦情への対応

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
ト 当該外国人から職業生活,日常生活又は社会生活に関し,相談又は苦情の申出を受けたときは,遅滞なく,当該相談又は苦情に適切に応じるとともに,当該外国人への助言,指導その他の必要な措置を講ずること。

 

〔義務的支援〕

1号特定技能外国人から職業生活,日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申出を受けたときは,遅滞なく適切に応じるとともに,相談等の内容に応じて当該外国人への必要な助言,指導を行う必要があります。

また,特定技能所属機関等は,必要に応じ,相談等内容に対応する適切な機関(地方出入国在留管理局,労働基準監督署等)を案内し,当該外国人に同行して必要な手続の補助を行わなければなりません。

相談及び苦情への対応は,1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

 

〔任意的支援〕

相談・苦情の内容により,1号特定技能外国人が直接必要な手続を行いやすくするため,相談窓口の情報を一覧にするなどして,あらかじめ手渡しておくことが望まれます。

相談・苦情は,特定技能所属機関等の事務所に相談窓口を設けたり,相談・苦情専用の電話番号やメールアドレスを設置したりすることにより実施することが望まれます。

1号特定技能外国人が仕事又は通勤によるけが,病気となり,又は死亡した等の場合に,その家族等に対して労災保険制度の周知及び必要な手続の補助を行うことが望まれます。

 

【留意事項】

相談及び苦情の対応に当たっては,個人情報の保護に努めるとともに,1号特定技能外国人が相談等の内容を理由に職場での待遇等において不当な取扱いがなされないようにしてください。

相談・苦情の対応は,平日のうち3日以上,土曜・日曜のうち1日以上に対応し,相談しやすい就業時間外などにも対応できることが求められます(相談・苦情はいつ寄せられるか分からないことから,相談・苦情専用のメールアドレスの設置などにより可能な限り休日や夜間においても対応可能な体制を整えていること,また,事故の発生等緊急時の連絡先を設け,基本的にいつでも連絡が受けられる体制を構築することが望まれます。)。

通訳の確保が困難な場合において,応急的に同僚の外国人就労者を通訳に充てても差し支えありませんが,プライバシー保護の観点から,詳細の聞き取りについては,通訳を確保した上で,適切に対応する必要があります。

相談又は苦情への対応は,1号特定技能外国人の離職が決まった後も,特定技能雇用契約がある間は行うことが求められることに留意する必要があります。

相談及び苦情の対応を行った場合,相談記録書(参考様式第5-4号)に記録をしておく必要があります。また,相談及び苦情を受け,関係行政機関への相談又は通報を行ったものについては,当該外国人の支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号又は第4-3号)に記載する必要があります。

 

(7)日本人との交流促進に係る支援

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
チ 当該外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること。

 

〔義務的支援〕

1号特定技能外国人と日本人との交流の促進に係る支援は,必要に応じ,地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や地域の自治会等の案内を行い,各行事等への参加の手続の補助を行うほか,必要に応じて当該外国人に同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助を行わなければなりません。

また,1号特定技能外国人が日本の文化を理解するために必要な情報として,必要に応じ,就労又は生活する地域の行事に関する案内を行うほか,必要に応じて当該外国人に同行して現地で説明するなどの補助を行わなければなりません。

 

〔任意的支援〕

1号特定技能外国人が各行事への参加を希望する場合は,業務に支障を来さない範囲で,実際に行事に参加できるよう,有給休暇の付与や勤務時間について配慮することが望まれます。

1号特定技能外国人が地域社会で孤立することなく,当該外国人と日本人が相互に理解し信頼を深められるよう,特定技能所属機関等が率先して,当該外国人と日本人との交流の場を設けていくよう努めることが望まれます。

 

【留意事項】

1号特定技能外国人と日本人との交流の促進に係る支援は,地域住民との交流を促進させるため,季節の行事等をとらえるなどし年間を通じて行うことが望まれます。

 

(8)外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
リ 当該外国人が,その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合においては,公共職業安定所その他の職業安定機関又は職業紹介事業者等の紹介その他の他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行うことができるようにするための支援をすること。

 

〔義務的支援〕

特定技能所属機関が,人員整理や倒産等による受入側の都合により,1号特定技能外国人との特定技能雇用契約を解除する場合には,当該外国人が他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて特定技能1号としての活動を行えるように,次の支援のいずれかを行う必要があります。

  • ① 所属する業界団体や関連企業等を通じて,次の受入先に関する情報を入手し提供すること
  • ② 公共職業安定所その他の職業安定機関又は職業紹介事業者等を案内し,必要に応じて1号特定技能外国人に同行し,次の受入先を探す補助を行うこと
  • ③ 1号特定技能外国人の希望条件,技能水準,日本語能力等を踏まえ,適切に職業相談・職業紹介が受けられるよう又は円滑に就職活動が行えるよう推薦状を作成すること
  • ④ 特定技能所属機関等が職業紹介事業の許可又は届出を受けて職業紹介事業を行うことができる場合は,就職先の紹介あっせんを行うこと

上記①~④のいずれかに加え,次の支援についてはいずれも行う必要があります。

  • 1号特定技能外国人が求職活動を行うための有給休暇を付与すること
  • 離職時に必要な行政手続(国民健康保険や国民年金に関する手続等)について情報を提供すること

特定技能所属機関が自ら1号特定技能外国人支援の全部を実施することとしている場合であって,倒産等により,転職のための支援が適切に実施できなくなることが見込まれるときは,それに備え,当該機関に代わって支援を行う者(例えば,登録支援機関,関連企業等)を確保する必要があります。

 

【留意事項】

1号特定技能外国人の転職に係る支援については,可能な限り次の受入先が決まるまで支援を継続してください。

外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援を実施した場合,当該外国人の支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号又は第4-3号)に,転職支援の内容に関する内容を記載しておく必要があります。

 

(9)定期的な面談の実施,行政機関への通報

【関係規定】
特定技能基準省令(1号特定技能外国人支援計画の内容等)
第3条 法第2条の5第6項の1号特定技能外国人支援計画には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次に掲げる事項を含む職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の内容
ヌ 支援責任者又は支援担当者が当該外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し,労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していることその他の問題の発生を知ったときは,その旨を労働基準監督署その他の関係行政機関に通報すること。

 

〔義務的支援〕

特定技能所属機関等は,1号特定技能外国人の労働状況や生活状況を確認するため,当該外国人及びその監督をする立場にある者(直接の上司や雇用先の代表者等それぞれと定期的(3か月に1回以上)な面談を実施する必要があります。

定期的に行う面談の場においては,前記(4)の生活オリエンテーションで提供した本邦での生活一般に関する事項,防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項その他の事項に係る情報を,必要に応じ,改めて提供することが求められます。

1号特定技能外国人との面談は,当該外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

支援責任者又は支援担当者は,1号特定技能外国人との定期的な面談において,労働基準法(長時間労働,賃金不払残業など)その他の労働に関する法令(最低賃金法,労働安全衛生法など)の規定に違反していることを知ったときは,その旨を労働基準監督署やその他の関係行政機関に通報する必要があります。

支援責任者又は支援担当者は,1号特定技能外国人との定期的な面談において,資格外活動等の入管法違反,又は,旅券及び在留カードの取上げ等その他の問題の発生を知ったときは,その旨を地方出入国在留管理局に通報する必要があります。

 

〔任意的支援〕

1号特定技能外国人自らが通報を行いやすくするため,関係行政機関の窓口の情報を一覧にするなどして,あらかじめ手渡しておくことが望まれます。

 

【留意事項】

定期的な面談を行った場合,1号特定技能外国人用及び監督者用の定期面談報告書(参考様式第5-5号及び第5-6号)を作成する必要があるほか,支援実施状況に係る届出書を届け出る際にこれらを添付する必要があります。)。

 

 

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