在留資格「特定技能」とは

[記事公開日]2018/07/01
[最終更新日]2018/07/13

移民政策をおこなっていない日本では外国人の単純労働は原則として禁止されています。

しかし深刻な人手不足に対応するために、「建設」「宿泊」「農業」「介護」「造船」の5つの分野で単純労働を含めた就労を認める「特定技能」という在留資格が認められる方向に向かっています。(在留資格に関しては『在留資格とは』をご参照下さい)

それでは、現在検討されている「特定技能」とはどういったもので、資格を取得するためにはどのような要件があるのかなどを判りやすくご説明したいと思います。

 

日本の現状

「特定技能」という在留資格が検討されている背景には日本の労働人口と求人に関する現状を理解する必要があります。

どのような状況なのかをみてみましょう。

 

生産年齢人口の減少

日本では1997年をピークに生産年齢人口が減少しています。

生産年齢とは簡単に言いますと「働くことができる年齢」で日本では「15歳以上65歳未満」を生産年齢としています。

つまり15歳以上65歳未満の人口が1997年以降減り続けているのです。

 

有効求人倍率の増加

生産年齢人口が減っているにも関わらず、有効求人倍率は2017年12月には43年ぶりの高水準となっています。

有効求人倍率とは、ハローワークで仕事を探す人1人に対し、何人分の求人があるかを示す指標です。

2017年12月の1.59倍というのは、100人の求人に対して159人分の仕事があるということです。

それだけ労働力が不足しているということになります。

 

アルバイトや技能実習生の就労

「留学」や日本に在留資格を持つ人の家族として滞在する「家族滞在」という在留資格では原則として就労はできませんが、「資格外活動」という許可をとることで週28時間以内のアルバイトは出来るようになります。(詳しくは『資格外活動とは』をご参照下さい。)

この資格外活動をしている数が2008年では70,833人だったのが、9年後の2017年では297,021人と226,000人以上増えています。

資格外活動の他には「技能実習」という在留資格での労働者数が増加しています。

日本には技能実習制度という制度があります。

日本で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転して、その開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという目的の制度です。

技能実習生は「日本で培われた技能、技術又は知識」を習得することが目的ですので、労働力の需給の調整手段として行われてはならないと技能実習法第3条で定められています。

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)

第三条
技能実習は、技能等の適正な修得、習熟又は熟達(以下「修得等」という。)のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならない。
2技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。

 

 

在留資格「特定技能」とは

このような労働人口の減少と求人倍率の増加の中で、週28時間以内のアルバイトや単純労働が認められない技能実習生では対応ができなくなり、一定のルールのもとで外国人の新たな就労を認める在留資格を創設が検討されることになりました。

平成30年6月15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」(骨太方針)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。

その骨太方針の中に以下のような外国人雇用に関する内容があります。(経済財政運営と改革の基本方針2018

新たな外国人材の受入れ
・中小企業・小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化への対応
・一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れるため、就労を目的とした新たな在留資格を創設
・出入国管理及び難民認定法を改正し、政府の基本方針を定めるとともに、業種別の受入れ方針を策定
・求める技能水準は、受入れ業種ごとに定め、日本語能力水準も、業務上必要な水準を考慮して、受入れ業種ごとに定める
・政府の在留管理体制を強化するとともに、受入れ企業又は登録支援機関(業界団体等)による生活ガイダンス、相談対応、日本語習得支援等を実施
・在留期間の上限は通算5年とし、家族の帯同は基本的に認めないが、滞在中に高い専門性を有すると認められた者について、在留期間の上限が無く、家族帯同を認める在留資格への移行措置を整備する方向

 

「特定技能」の対象となる業種

「特定技能」は全ての業種で認められているわけではありません。

建設、宿泊、農業、介護、造船の5分野になる予定です。

分野 期間 人数
建設 2025年まで 30万人以上
宿泊 2030年まで 8.5万人
農業 2023年まで 最大10.3万人
介護 毎年 1万人程度
造船 2025年まで 2.1万人

原則として就労資格を得られる期間は5年間となっています。

家族が一緒に日本に来る事も原則としては認められません。

ただし、日本に滞在中に高い専門性を有すると認められた場合は、在留期間の上限がなく家族も日本に連れてこられる在留資格へ移行できるようになる制度も検討されています。

 

「特定技能」の資格取得要件

特定技能の資格を取得するためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

 

技能実習を修了すること

技能実習を修了していることで、特定技能の在留資格を取得することができるようにすることを検討されています。

 

「特定技能評価試験」に合格すること

技能実習を修了していない場合でも、特定技能評価試験に合格することで特定技能の在留資格の申請ができるようにすることを検討されています。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

今まで外国人の単純労働を認めていなかった日本が5つの分野でかつ期間限定としても、外国人の単純労働を認めることを検討しているというのは大きな方針転換だと言えます。

特に現在深刻な人手不足で悩んでいる建設、農業、宿泊、介護、造船の分野にとっては朗報であるとも言えます。

ただし、外国人が増える事で治安の悪化などの不安要素もありますので、社会の安全面での対策も整備される必要があると思います。