特定技能1号の外国人材を雇用する場合、「特定技能所属機関(受入企業)」又は法務大臣が認めた「登録支援機関」が外国人労働者の日本での生活や就労の支援を行う支援計画の作成、提出及び計画の実行が必要になります。
どのような仕組みなのかを判りやすくご説明したいと思います。
「登録支援機関」とは
特定技能の制度には「特定技能所属機関」と「登録支援機関」という2つの機関があります。
特定技能所属機関とは、特定技能外国人を雇用する会社(受入れ機関)です。
特定技能所属機関は、特定技能外国人の職場上、日常生活上、社会上の支援をしなければいけません。
特定技能外国人の支援には専門的な内容もあるため、特定技能外国人を雇用する会社(特定技能所属機関)自身で実施するのは難しいというケースもあります。
登録支援機関とは、特定技能所属機関に委託されて特定技能外国人の支援計画の作成・実施を行う機関です。
特定技能所属機関と登録支援機関は以下のような役割になるイメージです。
登録支援機関として登録できる対象は、支援体制を備えた業界団体、民間法人、社労士等の幅広い主体を想定されています。
平成31年4月1日に施行される出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律で以下のように記されています。
(登録支援機関の登録)
第十九条の二十三
契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(以下「支援業務」という。)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができる。
2前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
3第一項の登録(前項の登録の更新を含む。以下この款において同じ。)を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
「特定技能所属機関」とは
特定技能所属機関とは、外国人と直接雇用契約を結ぶ企業などです。
いわゆる「受入れ機関」です。
外国人と締結する契約は、報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、以下の基準に適合することが必要になります。
- 労働関係法令・社会保険関係法令の遵守
- 欠格事由に該当しないこと等
- 支援計画に基づき,適正な支援を行える能力・体制があること等(特定技能1号外国人材の場合に限る)
支援計画とは、以下のような項目に関する計画です。
- 外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することができる言語により行う。4、6及び7において同じ。)
- 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
- 保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
- 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む。)
- 生活のための日本語習得の支援
- 外国人からの相談・苦情への対応
- 外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
- 外国人と日本人との交流の促進に係る支援
- 外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援
登録支援機関の登録申請方法
登録支援機関の申請は以下のように行います。
申請者
特定技能所属機関から契約により委託を受けて適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務を行う者
申請時期及び審査期間
登録支援機関の登録申請に係る審査はおおむね2か月を要します。
支援業務を開始する予定日のおおむね2か月前までに申請を行います。
手数料納付書
申請手数料として28,400円分の収入印紙を貼付して申請します。
登録支援機関登録申請書
登録支援機関申請書の「支援業務」の「内容及び実施方法」に記載に関しましては、『登録支援機関登録申請書(支援業務)』をご参照下さい。
登記事項証明書
法人の場合のみ提出が必要です。
住民票の写し
個人事業主の場合に提出が必要です。
住民票はマイナンバーの記載がないもので、本籍地の記載があるものを提出します。
定款又は寄附行為の写し
法人の場合のみ提出が必要です。
役員の住民票の写し
特定技能所属機関(受入れ機関)が法人である場合に提出が必要です。
住民票はマイナンバーの記載がないもので、本籍地の記載があるものを提出します。
特定技能外国人支援に関する業務の執行に直接的に関与しない役員に関しては、住民票の写しに代えて、誓約書(特定技能外国人支援に関する業務の執行に直接的に関与しない旨と法令に定められている欠格事由に該当する者でない旨について申請者が確認し、誓約したもの。)の提出でもよいとされています。
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者が役員については、当該役員及びその法定代理人の住民票の写し(法定代理人が法人である場合は、当該法人の登記事項証明書及び定款又は寄附行為並びにその役員の住民票の写し)の提出が必要です。
特定技能所属機関の役員に関する誓約書
住民票の写しの提出を省略する役員がいる場合に提出が必要です。
参考様式第2-7号 登録支援機関の役員に関する誓約書【PDF】 【WORD】
登録支援機関概要書
参考様式第2-2号 登録支援機関概要書【PDF】 【WORD】
※記載例をご参照下さい 【登録支援機関概要書 記載例】
登録支援機関誓約書
参考様式第2-1号 登録支援機関誓約書【PDF】 【WORD】
支援責任者の就任承諾書及び誓約書の写し
参考様式第2-3号 支援責任者の就任承諾書及び誓約書【PDF】 【WORD】
支援責任者の履歴書
参考様式第2-4号 支援責任者の履歴書【PDF】 【WORD】
※記載例をご参照下さい 【支援責任者の履歴書 記載例】
支援担当者の就任承諾書及び誓約書の写し
参考様式第2-5号 支援担当者の就任承諾書及び誓約書【PDF】 【WORD】
支援担当者の履歴書
参考様式第2-6号 支援担当者の履歴書【PDF】 【WORD】
※記載例をご参照下さい 【支援責任者の履歴書 記載例】
登録支援機関の登録(更新)申請に係る提出書類一覧・確認表
登録支援機関の登録要件
登録支援機関の登録をするためには、以下の要件を満たしている必要があります。
・支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
・以下のいずれかに該当すること
- 登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること
- 登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
- 選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
- 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
・1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
・支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
・刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
・5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないことなど
登録支援機関の業務
外国語での支援
特定技能雇用契約の当事者である外国人に係る一号特定技能外国人支援計画に基づく職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を当該外国人が十分に理解することができる言語によって行うことができる体制を整備している必要があります。
文書の作成と保存
1号特定技能外国人支援の状況に係る文書を作成して、当該1号特定技能外国人支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこととしている必要があります。
支援責任者及び支援担当者
支援責任者及び支援担当者は、外国人を監督する立場にない者その他の1号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者でなければいけません。
また、支援責任者及び支援担当者は、⑴エ(ア)から(サ)までに該当しない者である必要があります。
1号特定技能外国人支援
特定技能雇用契約の締結の日前5年以内又はその締結の日以後に法第19条の22第1項の規定に反して一号特定技能外国人支援計画に基づいた1号特定技能外国人支援を怠ったことがないことが必要です。
面談の実施
特定技能雇用契約の当事者である外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していなければいけません。
その他
法務大臣が告示で定める特定の分野に係るものにあっては,当該分野を所管する関係行政機関の長が,法務大臣と協議の上,当該分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。
登録支援機関の届出
登録支援機関は、以下のような届出及び報告を登録支援機関(「支援計画の実施状況に関する届出」は受入れ機関)の所在地を管轄する地方出入国在留管理局へ持参又は郵送によっておこなわなければいけません。
登録事項変更に係る届出書
登録事項のいずれかに変更があった場合、事由発生後14日以内に届出が必要です。
氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名の変更があった場合、登記事項証明書(法人の場合)、住民票の写し(個人の場合)を添付しなければいけません。
支援業務の休止又は廃止に係る届出書
支援業務を休止又は廃止した場合、事由発生後14日以内に届出が必要です。
支援業務の一部を休止又は廃止した場合、登録事項変更に係る届出も必要になります。
支援業務の再開に係る届出書
支援業務の休止の届出を行った者が支援業務を再開する場合、再開予定日の1か
月前までに届出が必要です。
支援業務の休止理由が「支援業務を的確に遂行するために必要な体制が整備されていないため」である場合、支援体制が確保されていることについての立証資料を添付しなければいけません。
支援計画の実施状況に関する届出
特定技能所属機関から委託を受けた1号特定技能外国人支援計画の実施状況について、四半期ごとに定期の届出が必要です。
届出の期限は翌四半期の初日から14日以内です。
届出先は受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局になります。
届出対象期間内に支援対象者が存在しない場合であっても、その旨届出を行う必要があります。
支援計画に変更があった場合、受入れ機関からの支援計画変更に係る届出も必要です。
非自発的離職者を発生させた場合、受入れ機関からの受入れ困難に係る届出も必要です。
出入国在留管理庁と登録支援機関との関係
出入国在留管理庁と登録支援機関は以下のような関係にあります。
- 外国人、登録支援機関による各種届出
- 登録支援機関に対する指導・助言
- 登録支援機関に対する報告徴収等
- 登録支援機関の登録と登録抹消
- 罰則規定
まとめ
いかがでしたでしょうか。
登録支援機関は、1号特定技能外国人の支援という重要な役割をもつ機関だということがご理解いただけたかと思います。
入国前のサポートや外国語でのサポートなど、特定技能の在留資格で日本で働く外国人が安心して日本で働けるようにするために、登録支援機関のサポートが非常に重要になります。