特定技能外国人を雇用する場合、海外にいる外国人を雇用するケースと国内にいる外国人を雇用するケースがあります。
ここでは「海外にいる外国人を雇用する」流れを分かりやすくご説明します。
国内にいる外国人を雇用する場合は『国内にいる外国人を雇用する流れを全解説します!』をご参照下さい。
海外にいる外国人を雇用する流れ
海外にいる外国人を雇用する流れを詳しくご説明する前に、おおまかな流れをご説明したいと思います。
1.特定技能で雇用できる海外にいる外国人を探す。
2.面接などをおこない、採用が内定したら「特定技能雇用契約」を結ぶ。
3.「1号特定技能外国人支援計画」を策定する。
4.出入国在留管理庁へ、採用する外国人の「特定技能」の在留資格を申請する。
5.外国人が日本に入国後、支援計画に基づいて支援をおこなう。
6.雇用開始する。
7.業界の協議会の構成員となる。
以上がおおまかな流れになります。
それでは、具体的にどのように進めていくのかを一つずつみてみましょう。
協議会とは
特定技能外国人を雇用する場合、厚生労働省、経済産業省、農林水産省が組織する各業界の協議会の構成員になる必要があります。
海外にいる外国人とは
海外にいる外国人が日本で働くためには「特定技能」という在留資格を取得しなければいけません。(在留資格に関しましては『在留資格とは』、特定技能に関しましては『特定技能とは』をご参照下さい。)
海外にいる外国人で「特定技能」の在留資格を取得できるのは、「18歳以上」で、かつ「技能実習2号修了者」と「技能試験及び日本語試験合格者」のどちらかになります。
技能実習2号を修了して帰国した外国人や日本語学校で日本語を勉強している学生などが対象になるかと思います。
技能実習2号修了者
技能実習2号を修了して帰国した外国人は特定技能の在留資格申請が可能です。
技能実習2号を修了している場合、技能評価試験や日本語試験は免除されます。
特定技能評価試験合格者
特定技能評価試験(技能試験と日本語試験)に合格することで特定技能の申請が可能になります。
海外にいる外国人の求人方法
海外にいる外国人を求人する場合、いくつかの方法が考えられます。
主に考えられる方法をみてみましょう。
自社ホームページでの求人
自分の会社のホームページなどで外国人を求人します。
特定技能という制度が出来るまでは海外の外国人を自社で外国人を募集することはなかったと思いますが、今後自社サイトでの求人という方法も一般的になるかもしれません。
当サイトにも海外の方から「日本で働く会社を探したいのですが、どうやって探せばいいですか」といった質問をお問合せフォームからいただきます。
多言語で求人募集をしたほうが効果があると思いますが、日本で働く意思のある人はある程度日本語が出来る人も多いので、日本語のホームページであっても求人募集に申し込みがくる可能性はあると思います。
職業紹介事業者
日本人の求人と同じように、外国人の労働者も職業紹介事業者から紹介してもらうというケースは一般的になると思います。
現在日本人の職業紹介をされている会社で外国人の職業紹介もおこなうという会社もふえてくるのではないでしょうか。
海外の技能実習生の送出し機関が日本に法人を設立して職業紹介事業をおこなうというケースも増えてくると予想されます。
実際、私の事務所にもいろいろな国の海外の送出し機関から法人設立のご相談をたくさんいただいています。
それ以外に海外の日本語学校が日本に人材紹介の法人を作りたいというご相談もたくさんいただいています。
このように、今までは人材紹介事業に参入していなかった業種の方々が新規で外国人材紹介の事業に参入されると、国ごとの専門業者や業種ごとの専門業者など、外国人専門でさらに特化した職業紹介事業者も増えてくると思います。
登録支援機関
特定技能外国人を支援するための「登録支援機関」が職業紹介事業もおこなっている場合は、登録支援機関から特定技能外国人を紹介してもらうケースも増えると思います。
(登録支援機関に関しましては「登録支援機関とは」で詳しくご説明していますので、ご参照下さい)
特定技能雇用契約の締結
特定技能で雇用できる海外にいる外国人がみつかったら、対面又はWEBなどで採用面接をおこないます。
採用が内定したら、次に雇用契約を結びます。
特定技能の在留資格を持つ外国人と雇用する会社との雇用契約を「特定技能雇用契約」といいます。
特定技能雇用契約では、従事する業務や労働時間、報酬額など決めなければいけない事項があります。
報酬額は「日本人と同等以上」としなければいけませんので、契約内容は充分注意して下さい。
詳しくは『特定技能雇用契約とは』をご参照下さい。
1号特定技能外国人支援計画の策定
1号特定技能外国人を雇用する場合、職業生活上,日常生活上,社会生活上の支援をしなければいけません。
具体的には入国前の情報提供や住宅の確保などの支援が必要になります。
詳しくは『1号特定技能外国人支援計画とは』をご参照下さい。
自社での外国人支援が難しい場合は支援計画を登録支援機関に委託することもできます。
在留資格認定証明書交付申請
特定技能雇用契約を結んで、支援計画など必要な準備が終わったところで、出入国在留管理庁へ在留資格認定書交付申請をします。
在留資格認定証明書交付申請は、受入れ機関の職員は等が代理でおこないます。(地方局長に申請等取次者として承認を受けた行政書士などが申請を取り次ぐ事も可能です。)
特定技能の在留資格認定証明書交付申請をするためには、外国人本人は以下のような要件を満たしている必要があります。
- 18歳以上であること
- 技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を修了した外国人は免除)
- 特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
- 保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと
- 自らが負担する費用がある場合,内容を十分に理解していること
特定技能の罪集資格認定証明書交付申請に関しましては『特定技能1号とは』のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。
在留資格認定証明書
「特定技能」の在留資格認定証明書が交付されたら、受取機関の職員が出入国在留管理庁に在留資格認定証明書を受け取りに行きます。
この時点で特定技能の在留資格が取得できたわけではありませんので注意して下さい。
まずは、受けとった在留資格認定証明書を海外にいる外国人に送付します。
海外にいる外国人が在留資格認定証明書を受け取ったら、在外公館(その国の日本大使館又は総領事館など)に査証(ビザ)の申請をします。
在外公館から査証(ビザ)が発行されたら、海外にいる外国人は日本に入国します。
査証(ビザ)は日本に入国するために必要なものですが、査証があるからといって必ず在留資格が取得できるということではありません。
入国時に査証(ビザ)を確認して在留資格を付与するかを決める審査を「上陸審査」といいます。
査証(ビザ)は入国検査(上陸審査)のために必要なものですので、入国審査の後はビザは無効になります。
かわりに入国審査の際に与えられた「在留資格」が、入国後に日本に在留する根拠となります。
在留カード
在留カードとは日本に住む外国人が常時携帯していなければいけない身分証明書です。
入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められた場合には,提示する必要があります。
在留カードを携帯していなかった場合は20万円以下の罰金、提示に応じなかった場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがあります。
成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、新千歳空港、広島空港、福岡空港から入国する場合は上陸許可の際に在留カードが交付されます。
それ以外の空海港では上陸許可の際に在留カードは交付せず、入国後に市区町村に届け出た住居地あてに在留カードを簡易書留にて郵送されます。
在留カードは外国人が日本で生活する上で特に重要なものです。(詳しくは『在留カードとは』をご参照下さい。)
外国人が入国後に実施すること
外国人が日本に入国後、支援計画に基づいて以下のような支援をおこなわなければいけません。
- 受入れ機関等が実施する生活オリエンテーションの受講
- 住居地の市区町村等にて住民登録
- 給与口座の開設
- 住宅の確保
など
特定技能外国人の雇用開始
入国後の支援がおわったところで、特定技能外国人を雇用します。
雇用後は、報酬を適切に支払うなど外国人と結んだ雇用契約を確実に履行することや外国人への支援の適切な実施、出入国在留管理庁への各種届出などは遵守しなければいけません。
これらを怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導や改善命令等を受けることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
海外にいる外国人を雇用する流れをイメージしていただけましたでしょうか。
今までは海外にいる外国人を雇用するというのは、かなり限られた特殊な分野でしたが、今後は一般的な大きな市場になっていくと思います。
海外の外国人を雇用することができるようになると、優秀な人材を確保するためには、給料面だけではなく、職場環境や労働条件、外国人支援体制なども充実させる必要が出てくるのではないかと思います。
国内にいる外国人を雇用する場合は『国内にいる外国人を雇用する流れを全解説します!』をご参照下さい。