在留資格の新規申請や更新申請に必要な書類の一つに「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」という書類があります。
税理士と顧問契約されている会社では、ほとんどの場合、税理士が作成して税務署へ提出しますので「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を見たことが無いという経営者の方もいらっしゃるかと思います。
外国人を雇用する上で「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」とはどういったものなのかを知っておくことは非常に重要です。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」とはどのようなものなのかをわかりやすくご説明したいと思います。
「法定調書」とは
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を理解する前に、「法定調書」とはどういったものかを知っておく必要があります。
法定調書というのは、法定調書には誰にお金の支払ったかというお金の流れを申告する書類で、税務署に提出をしなければいけません。
所得税法等で規定されている法定調書は59種類ありますが、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」にはその内6種類の法定調書をまとめた数字が記載されます。
それではその6種類の法定調書がどのようなものなのかを見てみましょう。
給与所得の源泉徴収票
「給与所得の源泉徴収票」は各従業員ごとに「1年間にいくら給料を支払って、いくら税金や社会保険を徴収したか」を記載したものです。
「給与所得の源泉徴収票」は年末調整の計算後、又は従業員の退職時に作成します。
退職所得の源泉徴収票
「退職所得の源泉徴収票」は退職金などの支払いをする場合に、「退職者に対していくら支給して、いくら控除したか」を記載したものです。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は原稿料や講演料、弁護士や税理士の報酬の支払いがあった場合に作成する書類です。
相手に対して「1年間にいくら報酬を支払って、いくら税金を徴収したか」を記載したものです。
不動産の使用料等の支払調書
「不動産の使用料等の支払調書」は不動産などの賃借料を支払った場合に作成するものです。
家賃や地代、権利金や更新料などをいくら支払ったかを記載したものです。
不動産等の譲受けの対価の支払調書
「不動産等の譲受けの対価の支払調書」は不動産等を譲り受けた場合に作成するものです。
「不動産等の譲受けの対価の支払調書」は全ての法人と不動産業を営む個人事業主(賃貸の仲介業は除く)が提出の対象となります。
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」は不動産等の売買や貸付けのあっせん手数料を支払った場合に作成するものです。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」とは
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は一般的には「法定調書合計表」と呼ばれます。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は、さきほどご説明しました6つの法定調書を集計してまとめて記載したものです。
支払が確定した年の翌年1月31日までに取りまとめて税務署に提出しなければなりません。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を見てわかること
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を見ると、会社として1年間に何人にいくら給与を支払ったかや、いくら不動産の使用料を支払ったかなどが一目でわかります。
誰にいくら支払ったかまでは判りませんが、会社として支払うおおまかな金額は把握できます。
在留資格の審査を行う場合、就労する会社の規模を4つに分類しています。
「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の数字が、会社の規模を4つに分類する際の基準となります。
何故、行政書士に在留資格の更新依頼をするのか?
在留資格の新規の認定申請は「当該外国人を受け入れようとする機関の職員」、つまり雇用する会社の職員が申請書類の提出をおこなうことができます。
しかし、更新の場合は「当該外国人を受け入れようとする機関の職員」は申請人の代理として申請書類を提出することができません。
更新の場合、申請人本人が書類を提出するか、地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている行政書士等に提出を依頼することになります。
書類を提出するということは法定調書合計表や会社の決算報告書を申請者本人に見せることになります。
上で見てきましたように法定調書合計表を見ることで会社としての1年間に給与を何人にどれくらい支払ったかなどが判ります。
これらの数字を申請者である社員に知られたくないという理由で行政書士に依頼するというケースもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
税理士と顧問契約されている会社では経営者の方や経理担当者の方であっても見たことがないと言われることもある法定調書合計表ですが、非常に会社にとって重要な内容が記載されているものだとご理解頂けたかと思います。
就労系の在留資格の申請には貸借対照表や損益計算書などの財務諸表も添付しなければいけないので、直近の会社の状況を開示することになります。
これは在留資格の審査で、雇用する会社の規模や経営状態によって安定した雇用を確保出来るかなどを判断するために必要になるからです。