有料職業紹介事業の許可申請方法を徹底解説します!

有料職業紹介事業とは

外国人雇用が拡大する中で、外国人労働者と雇用先をマッチングするビジネスを考えられている方もいらっしゃると思います。

外国人労働者を雇用者に紹介して報酬をもらう場合、「有料職業紹介事業」の許可が必要になります。

有料職業紹介業とはどのようなもので、許可をとるためには何が必要なのかを分かりやすくご説明したいと思います。

 

有料職業紹介事業とは

有料職業紹介事業とは「有料職業紹介事業」とは、手数料を得ながら求人企業、求職者との間での雇用関係の成立を斡旋します。

代表的なものとしては民間企業が運営する人材紹介会社が挙げられます。

人材派遣業の場合、人材派遣会社と求職者が雇用契約を結びます。

人材派遣会社は雇用契約を結んだ人を企業に派遣して、その派遣した人の給料と人材派遣会社の手数料をのせた金額を企業に請求します。

有料職種紹介事業の場合、求職者との雇用関係はなく、紹介手数料だけを請求します。

 

有料職業紹介事業の許可要件

有料職業紹介事業の許可基準

 

【要件1】財産

申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有することが要件となっています。

具体的には以下の基準を満たしている必要があります。

 

基準資産額500万円以上

基準資産額500万円以上基準資産額とは、繰延資産及び営業権を除く資産の総額から負債の総額を控除した額です。

繰延資産とは創立費や開業費のようなもので、実際には資産ではなく任意に費用として処理できる科目です。

営業権も例外的に資産計上できる場合がありますが、有料職業紹介の許可要件の資産には算入できません。

現金や土地、株など純粋に自分の所有している資産から借入金などの負債を引いた額が500万円以上であることが財産要件になります。

銀行口座に500万円あっても、それが銀行などから借りてきたお金であれば「負債」になりますので、有料職業紹介の許可要件の基準資産は満たせません。

複数の事業所で有料職業紹介事業を行おうとする場合、事業所の数に500万円をかけた金額が基準資産になります。

例えば3つの事業所で有料職業紹介事業を行う場合、500万円×3事業所=1500万円が基準資産になります。

 

現金・預貯金額150万円以上

事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円以上になることが必要です。

複数の事業所で有料職業紹介事業を行おうとする場合、事業所の数から1を減じた数に60万円をかけた額を加えた額以上になる必要があります。

例えば3つの事業所で有料職業紹介事業を行う場合、150万円+(2事業所×60万円)=270万円の現金又は預貯金が必要になります。

 

【要件2】個人情報管理体制

「個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること」が必要です。

以下のような内容を個人情報適正管理規程に定めます。

  • 求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
  • 個人情報の業務以外の目的での使用や漏洩しないことについて、職員への教育が実施されていること。
  • 個人情報の開示又は訂正の取扱いに関する事項についての規定があること。
  • 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する職業紹介責任者等による事業所内の体制が明確にされていること。
  • 苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。

 

【要件3】事業主

代表者及び(法人の場合)役員が、次のいずれにも該当する必要があります。

  • 職業安定法第32条に規定する欠格事由に該当する者でないこと。
  • 貸金業、質屋営業を営んでいる場合、それぞれ許可を受け適正に業務を運営している者であること。
  • 風俗営業等の名義人又は実質的な営業を行う者でないこと。
  • 外国人の場合、経営管理や永住者など適切な在留資格を有する者であること。
  • 住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
  • 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
  • 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
  • 虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
  • 国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。

その他平成29年4月1日から以下の欠格事由が追加されましたので、それ以前に作成された誓約書の場合、追加で以下のような内容の誓約書も必要になります。

欠格事由誓約書

 

【要件4】職業紹介責任者

職業紹介責任者有料職業紹介事業の許可をとるには、職業紹介責任者を選任しなければいけません。

職業紹介責任者とは、職業紹介サービスを管理統括する役割の人を言います。

職業紹介業務に従事するスタッフ50人毎に1名の職業紹介責任者を選任しなければいけません。

職業紹介責任者は、次のいずれにも該当する必要があります。

  • 成年であること。
  • 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
  • 職業安定法第32条第1号から第3号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
  • 要件3事業主に挙げた要件のいずれにも該当すること。
  • 「職業紹介責任者講習会」を受講した者であること。

 

【要件5】事業所

有料職業紹介事業を行う事業所は、次のいずれにも該当し、その位置、面積、構造、設備からみて職業紹介事業を行うに適切である必要があります。

  • 風俗営業や性風俗関連特殊営業等が密集するなど職業紹介事業の運営に好ましくない場所にないこと。
  • 職業紹介の適正な実施に必要な広さを有するものであること。(職業紹介事業に使用し得る面積が、おおむね20㎡以上)
    ※ただし、専らインターネットにより対面を伴わない職業紹介を行う場合については、面積の大小を要件としない。
  • 求人者、求職者の個人的秘密を保持し得る構造であること。
  • 事業所名(愛称等も含む。)は、利用者にとって、職業安定機関その他公的機関と誤認を生ずるものでないこと。

専らインターネットにより対面を伴わない職業紹介を行うと申請して、実際には対面を伴う職業紹介事業の運営をした場合、許可の取消し対象となる旨の許可条件が付きます。

 

【要件6】適正な事業運営

申請者及び申請者の行う他の事業との関係で、職業紹介事業の適正な運営に支障がないことが必要です。

具体的には以下の要件を満たしている必要があります。

  • 申請者が国又は地方公共団体でないこと。
  • 有料職業紹介事業を会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用するものでないこと。
  • 事業主の利益に偏った職業紹介が行われるおそれのある者でないこと。
  • 介護関係作業に従事する者が労災の適用を受けることを希望する場合に所定の申請を行うものであること。
  • 労働者派遣事業と兼業する場合にあっては、求職者に係る個人情報と派遣労働者に係る個人情報が別個に作成され別個に管理されること等事業運営につき明確な区分がなされていること。

 

【要件7】業務の運営に関する規定

「職業紹介事業の業務の運営に関する規程」を作成し、これに従って適正に運営されなければいけません。

「職業紹介事業の業務の運営に関する規程」には職業選択の自由、均等待遇、労働条件の明示、求職者等の個人情報の保護、求人の申込み、求職の申込み、紹介の原則、手数料、取扱職種の範囲等、労働争議に対する不介入などに関しての規程を作成します。

 

【要件8】手数料

適法な手数料以外には、いかなる名目であっても金品を徴収してはいけません。

徴収する手数料を明らかにした手数料表を作成しておく必要もあります。

 

【要件9】名義貸し

他に名義を貸与するために、又は職業紹介責任者となり得る者の名義を借用して許可をとることはできません。

 

【要件10】国外にわたる職業紹介

国外における取次機関を利用する場合には、許可を受けた取次機関以外は利用できません。

国外における職業紹介を実施するにあたって申請書に記載し、又は届け出た国を相手先国として職業紹介を行うものであることが必要です。

また、入管法等関係法令及び相手先国の法令を遵守して行う必要があります。

求職者に対して渡航費用その他を貸し付け、又は求人者がそれらの費用を貸し付けた求職者に対して職業紹介を行ってはいけません。

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか。

思ったよりも細かい要件が多くて驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。

特に財産要件である基準資産額500万円以上というのは、大きな借入金があるような場合は要件を満たすことが難しい場合があります。

判断が出来ない場合は、申請をする事務所を管轄する労働局へご相談に行かれるのが良いと思います。

 

 

 

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